心は必死に食い下がっても、身体は限界を迎えていた。

巨人・杉内俊哉投手(37)が2018年9月12日、引退会見を行った。藤田元司、堀内恒夫、桑田真澄と、生え抜きの名投手こそが袖を通すことが許される、伝統ある巨人の背番号18。リーグも異なる他球団からやってきた左腕に、その重い数字が背中に受け継がれた。しかし、その格式あるユニフォームに、再び空番の時が訪れた。

そしてまた一人「松坂世代」の選手が、球界を去って行く。寂しさも残るが、無常に刻まれ続ける時は、行く川の流れの如く、どんな名選手にも避けられない事象である。

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杉内俊哉の近年の成績

ホークスのエースとして活躍し、巨人に移籍してからも、杉内投手は変わらずの活躍を見せる。2012年~2014年は3年連続して二桁勝利を上げ、ローテーションの一角を担った。

しかし、2015年は6勝止まりでシーズン途中に股関節痛で戦線離脱。規定投球回数にも届かなかった。シーズンオフに股関節の手術を受けるも、例を見ない類のものであった。これを機に彼の野球人生は転機を迎えたのかもしれない。

さらには同年、5億から5000万という90%の大減俸を言い渡されるも、サイン。現役を続行した。

その後は苦悩の野球人生が続く。2016年は手術明けのリハビリに精を出すも、三軍で一度登板したのみで、一軍での登板機会は無し。翌2017年は、全く登板機会はなかった。

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杉内俊哉の他の松坂世代は今

杉内投手の同世代とされる所謂「松坂世代」。主な彼らの今シーズンの成績(9月12日現在)は以下の通りである。
 
【投手】
松坂大輔  登板10(先発10) 5勝4敗 防御率3.93
和田毅   一軍登板なし
藤川球児  登板45 4勝2敗19H 防御率2.14
館山昌平  登板4(先発4) 0勝3敗 防御率6.75
永川勝浩  登板19 1勝0敗5H 防御率5.06
久保裕也  登板24 1勝0敗3H 防御率1.75
 
【野手】
小谷野栄一 打席257 打率.210 打点17 本塁打1(今シーズン限りで現役引退)
工藤隆人  打席16  打率.143 打点1  本塁打0
矢野謙次  打席18  打率.188 打点1  本塁打0
渡辺直人  打席102 打率.205 打点10 本塁打1
G後藤武敏 一軍出場機会なし(今シーズン限りで現役引退)
村田修一  独立リーグへ移籍(今シーズン限りで現役引退)
 
世代の筆頭、松坂大輔は、中日に移籍後、全盛期の活躍からすれば完全復活とはいえないものの、チームの厳しいローテーション事情を支えている。
 
特筆すべきは、我が虎党の藤川球児か。昨シーズン、完全復活を遂げ、12球団最強とされたリリーフ陣の一角を担った。今シーズンもセットアッパーを務め上げ、火の玉とも称される浮き上がるストレートで三振を奪う場面も目立ち、再び輝きを放っている。
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杉内俊哉の黄金期

彼の輝かしい足跡を辿ってみると、2年目の2003年に10勝をあげ、日本シリーズで2勝(我が虎党に⋯⋯)し、日本一に貢献。

2004年には18勝で最多勝、最優秀防御率、沢村賞を獲得。2007年~2010年まで、4年連続で10勝以上、180奪三振以上を達成。

通算成績
142勝 77敗
防御率2.95(歴代33位 現役選手の中では1位)
奪三振2156(歴代14位 現役選手の中では1位)

杉内俊哉という投手は、現在では類まれな安定感抜群の名投手であった。2000年代で引退した投手の中で、生涯防御率2点台を記録したのは、斎藤雅樹投手(防御率2.77)に次ぐ二人目である。

また、奪三振率は9.28と、歴代一位。1試合で平均9個もの三振を奪えたのは、彼以外には今のところいないこととなる。

思いだけでは通じない現実

小生のような一日中PCと向き合い、人と向き合うだけの仕事であれば、気持ちさえあれば乗り越えられる。

しかし、身体が資本のアスリート。

彼の口から「一生、野球をやれるものだと思っていた」と語られた一言は実に虚しさが込められており、人間の身体の維持には、どうあがいても越えられない限界があることを思わせる。

身体を動かせるのは若い内、老いを感じたら脳を動かせ、ということか。それが人間を創った誰かが課したことなのだろうか。

こうして一線級の選手が引退会見を開く場を見ると、30代後半になったら自分が動くのではない、人を動かしていかねばと、伝えられているように感じる。

管理職になんかなりたくないと、言ってられる場合ではないのかもしれない。

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