名台詞に寄せて

 

出来る人ほど余裕や遊び心があるとは持論であるが、はやぶさ2のJAXA管制官における人々は、まさにその象徴であると実感する。

人間からしてみれば途方もない彼方に存在する地点を調査するという、壮大なプロジェクトの続章。

空想の中で彷徨っていた宇宙世紀の物語は、今や現実に現れんとしている。

 

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はやぶさ2が小惑星リュウグウに着陸成功

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、探査機「はやぶさ2」が、地球から3.4億キロ離れた小惑星「リュウグウ」に着陸したことを発表。初代「はやぶさ」以来、世界で2例目の小惑星の砂や石の採取に挑む。

JAXAによると、21日午後、はやぶさ2は降下を開始。22日午前6時14分に着陸を最終判断し、同7時29分に着陸した。その瞬間、管制室は歓喜に沸き、スタンディングオベーションに包まれ、抱き合って喜ぶ人々の姿も見られた。

そんな中、一際目立った行動をとるJAXAメンバーの姿をカメラは捉えていた。

 

某アニメの名台詞をなぞったプラカードを掲げる隊員の姿に、草生える(笑いの止まらない)人々が続出している。

遊び心満載のエリート達

 

とはいえ、この名セリフとされる一文に、ファーストガンダム世代でもなければ、アニメに疎い吾身にとってピンとくるものがない。

その紡がれた言葉に感銘を覚える理由とは何か。小生と同じ疑問を持つ人々の為に、ガンダムファンの批判を一身に受ける覚悟で記していく。

 

初号機とは違うのだよ、初号機とは!

「初号機とは違うのだよ、初号機とは!」とは、アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するランバ・ラルが放った台詞「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」をなぞったもの。

主人公であるアムロ・レイの乗るガンダムとの戦闘時に、彼の口から当台詞が飛び出した。

 

 

ランバ・ラルがその時操縦していた『グフ』というロボット(本作ではモビルスーツと呼ぶが)は、 今までガンダムが戦ってきた『ザク』というロボットとの性能の違いを強調して発せられた言葉である。

ランバラル大尉

 

様々な作品、および場面で引用され、以前のものと比較する際には大変使い勝手の良い名台詞とされている。

ランバ・ラルは敵役ながら人情味にあふれた人物であり、主人公のアムロ・レイの父親的役割を担う存在。多くのファンからも支持を受けている彼のキャラクター性も、当台詞が評価されている一因となっている面は多分にあるはずだ。

さて、このJAXAにおける「はやぶさ2」のプロジェクトチーム。この「初号機とは⋯⋯」以外にもガンダム愛が感じられる一面を表していた。

 

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見せてもらおうか、宇宙船の探査機の性能とやらを

JAXAは2018年4月24日に「はやぶさ2」の運用訓練を報道陣に公開したが、この度の運用にて使用された管制室に「見せてもらおうか、宇宙船の探査機の性能とやらを」という貼り紙が映し出されていた。

 

こちらは、主人公のアムロのライバルとなるシャア・アズナブルの台詞をなぞったものである。

見せてもらおうか、連邦のモビルスーツの性能とやらを

 

JAXA研究員は単にオタク気質の人が多いのか、それともファーストガンダム世代が多いのか。いずれにせよ、リアル宇宙世紀を目指して日々努力を重ねるような熱い志を抱いていることに間違いはなかろう。

 

 

本当に初号機とは違うのか?

とはいえ、本当に「はやぶさ2」は言うほど初号機よりも優れた性能を持っているのだろうか。初号機と2号機における出発から小惑星着陸までの軌跡を極簡潔に記載。

はやぶさの打ち上げから小惑星イトカワへの着陸まで

2003年5月9日:打ち上げ。

2003年11月4日:観測史上最大規模の太陽フレアに遭遇。フレアの放射を浴び、障害発生。小惑星イトカワ到着予定は2005年6月から2005年9月へと3か月延長。

2005年7月31日:リアクションホイール3基のうち1基が故障。

2005年10月2日:リアクションホイールが1基停止した。残り1基だけとなる。

2005年11月4日:1度目のリハーサル降下。700メートルまで接近したところで予定の軌道を外れ、リハーサルは中止。

2005年11月9日:2度目のリハーサル降下。75メートルまで接近。

2005年11月12日:3度目のリハーサル降下を行い、高度55メートルまで接近。探査機「ミネルバ」を投下も着陸失敗。

2005年11月20日:1回目のタッチダウンに挑戦。2回のバウンドを経て、約30分間イトカワ表面に着陸も、管制室の緊急指令で再離陸した。

2005年11月26日:2回目のタッチダウンに挑戦。1秒間着陸し、即座に離脱。

※イトカワ滞在時間約30分。満身創痍で帰還した初号機が持ち帰ったのは、わずか1500個のイトカワ表面の微粒子のみ。

 

はやぶさ2の打ち上げから小惑星リュウグウへの着陸まで

2014年12月3日13時22分:打ち上げ。

2019年2月22日:午前7時29分、1回目の着陸に成功。
※1年半にわたって滞在予定。小惑星内部の砂の採取に挑む。

 

随分と後者はあっさりとした表現になってしまったが、とにかくここで言いたいのは、初号機はトラブル続きで小惑星に着陸するだけでも大変で、調査どころではなかったということである。

初号機の滞在時間がわずか約30分に対し、2号機は1年半滞在しようとしている。そして初号機は小惑星表面のわずかな微粒子しか持ち帰ることが出来なかったのに対し、2号機は小惑星内部の砂まで持ち帰らんとしている。

つまり、ザクとグフの比較は全く参考にならないくらい、はやぶさ2は初号機に比べ、格段に優れていると言ってよいだろう。

 

 

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はやぶさ2の存在意義とは

熱い志を持ってリアル宇宙世紀を目指して日々研究に励む。先ほどはそのような言葉を記してみたが、一見すると聞こえの良い響きに思える。しかし、それには莫大な費用がかかり、大半は血税によって賄われていることは言うまでもない。

情熱と欲望は表裏一体。小生は常々そう思って生きている。

熱けりゃいいってものじゃない

 

宇宙飛行士になりたい。

未知なる宇宙をもっと知りたい。

そうして夢を叶えた選ばれし精鋭たちは、その土台に多くの犠牲があることを忘れてはならない。その為の莫大な費用があれば、多くの貧しい命が救われることを自覚するべきだ。

だからこそ、はやぶさ2には人類の存続に関わるような役割を担ってほしいと願う。小惑星の未知を知る為だけでなく、その脅威を回避する術の欠片に繋がってほしい。

太古に隆盛を極めた恐竜は、小惑星の衝突が故に絶滅したことが有力となっている。それが正しいと仮定するならば、小惑星の軌道等を予測する上で、その内部構造の研究が急がれることに論を待たない。その意味で、はやぶさ2の存在は人類ないし地球の生命にとって大きな存在意義を成す。

はやぶさ2の降り立った「リュウグウ」は、地球に衝突の可能性があるとされ、危険な存在という位置づけでもあるらしい。はやぶさ2の持ち帰るであろう物質たちは、単に人の好奇心を揺さぶる為だけでなく、全人類の存続にとって欠かせないものになる。

そうした思いをもって、プロジェクトメンバーの方々が今後の活動に熱を入れることを望む。

 

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