フェブラリーSに挑む藤田菜七子騎手

 

男社会で必死で己の存在を示し続ける藤田菜七子。

絶え間ぬ努力で勝鞍を重ね、G1騎乗の権利となる通算31勝を突破。そして早くも手にした大舞台への切符。

とはいえ、彼女には常に話題先行が頭をかすめる。事実、藤田菜七子にG1で勝負できるだけの腕はあるのか。

今回は彼女個人の騎乗技術に対し、クローズアップしてみたい。

 

フェブラリーステークスに藤田菜七子騎手が騎乗予定

2019年2月17日に施行されるG1・フェブラリーステークスに出走予定のコパノキッキングに、現在JRAで唯一の女性騎手である藤田菜七子の騎乗が予定された。

2018年6月17日の東京3Rでベルクカッツェに騎乗した藤田騎手は31勝目をあげ、G1騎乗の権利を得た。それから凡そ半年後、早くもG1騎乗の機会が舞い込んだ。

コパノキッキングといえば重賞2連勝中の明け4歳馬で、初マイルをこなせれば十分に争覇圏内にある有力馬。そんなプレッシャーのかかる場面を任された藤田騎手だが、果たしてそ彼女はそれを耐えるに相応しい程の実力を備えているのか。

 

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藤田菜七子の1番人気成績

1番人気の馬に乗って安定した結果を収めることの出来る騎手は、騎乗技術だけでなく、重圧を跳ねのける精神力があるとみなして問題なかろう。つまり、乗り役の能力を示す値として、一つのバロメータと言えるのではと考える次第。

藤田菜七子騎手もデビューして以来、当然その重圧のかかるシチュエーションを経験しているが、その成績は如何なものか。

以下、1番人気の騎乗機会が20回以上ある騎手成績を勝率順にソートしてみた。

■■■1番人気成績勝率順■■■

藤田騎手は対象130人の内、勝率は22.2%の122位と、かなり低い位置にいる。以下は1番人気過去30000件における平均成績は以下の通りだが、彼女の成績はその平均値をはるかに下回るものとなっている。

1番人気馬の過去3万件の成績

 

1番人気の馬で結果を残すには、前述の通り、重圧を跳ねのける精神力が必要となる。さらには、周囲のマークを交わす戦略力、言わばレースセンスが問われる。残念ながら彼女の素直で真面目な性格が、人気馬に乗るという面において悪い方向に働いていると、この数字から読み取れると言わざるを得ない。

 

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藤田菜七子と若手騎手の比較

1番人気で結果を残せないのは、果たして彼女の性格が原因なのか。戦略力が問われるのであれば「経験値」にも左右されるのではないかという声があって然りだろう。

そこで、デビュー5年以内の若手騎手における1番人気成績についても以下にまとめてみた。若手騎手は1番人気馬に乗る機会が少ないので、騎乗回数順にソートしている。

若手騎手の1番人気成績

 

まず若手騎手全体の1番人気成績の平均を見てみると、全体の平均値に比べて低くなっていることが分かる。これはやはり1番人気の馬で結果を残すには、ある程度の経験値が必要であると言えるだろう。

続いて藤田騎手自身の成績にクローズアップしてみる。1番人気経験は他の若手と比べて少ない方の部類だが、勝率や連対率に着目してほしい。他の若手騎手と比べてみても、決して良い数字とは言えないことが分かる。特に勝率では平均よりも5%近く低くなっており、若手と比較しても1番人気で勝ち切れないことを示している。

経験が足りないことは仕方のないことだが、他の若手と比べて勝ち切れない面が見られることは、やはり彼女の素直な性格が災いしているのかもしれない。

 

師匠が語る藤田菜七子

藤田菜七子騎手の師匠である根本康広調教師。ダービーを最大着差付けて勝ったジョッキーでもある師は彼女について、女性騎手最多勝をあげた時に以下のように語った。

メリーナイスでダービーを制した根本康広騎手

 

「この子は何か持っているな。節目節目で何かやってくれそう」と直感した。一方で、気の強い一面は全く見せなかった。競馬学校の厳しい訓練を耐え抜いてきたから、頑張り屋さんだとは思っていたけど、ジョッキーとして地に足がついてくると、気の強い性格が一気に出てきた。

スポニチアネックス 2018年8月20日~

 

最近になって気の強さを見せてきたとあるが、やはり彼女が元々素直で優しい性格であることを、この言葉が裏付けているように思う。

根本康広調教師

 

さらに根本師は「乗り方が素直すぎる」と彼女の騎乗を評価したこともあり、これはまだまだ他のマークをかいくぐる戦略術に欠けることを示していると言えるだろう。

 

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伝説の騎手が語る藤田菜七子

彼女と同じ姓名である藤田伸二元騎手。未だ破られない最年少ダービー制覇記録を持ち、歯に衣着せぬ発言でJRAを批判し、競馬会を去っていった彼は、競馬ファンの間で伝説化している。

伝説の男・藤田伸二

 

菜七子騎手を騒ぎ立てる周囲を良く思わない藤田氏だが、以下のツイートで菜七子騎手の女性最多勝記録更新について問われた時「そんな下らない記録知らんわ!」と一蹴し、波紋を広げたことは有名。しかし、そんな真っすぐな言動はいかにも彼らしい。

 

「客寄せパンダ」「G1に乗れるわけがない」と、痛烈にそして且つ冷静に彼女を批判する藤田氏。そんな数ある批判の中で「人気馬での取りこぼしも多いしな」と語っていた言葉は、やはり菜七子騎手の素直で優しい性格の裏付けだと思われる。

そんな伝説の男は、さぞかし彼女がG1に乗ることが決まって怒り心頭なのかと思いきや、意外にも前向きなコメントをしている。

「若い騎手にチャンスを与えるというオーナーのコパさんらしい選択やとは思うよ。オレもコパさんが馬主になりたての頃、所有馬に乗せてもらって未勝利を勝たせてもらったりしたしね。技術はまだまだ劣るが、乗る馬は強いんやから、いきなり勝ったって不思議やない」

~NEWSポストセブン 2019年02月08日~

 

元々気が小さいながらも、頑張り屋の性格で必死で男社会に喰らいつく彼女。誰よりも熱い心を持つ「漢・藤田」が、そんな菜七子騎手に冷たい視線を送り続けるはずがない。心の奥底で少しは彼女を認めなければという葛藤と戦っているのではと、勝手ながら想像する次第。

 

G1初騎乗初勝利を果たした騎手

データや関係者の発言からすると、藤田騎手にG1で勝負するほどの経験はまだまだ足りないと評価せざるを得ない。その上、G1初騎乗初勝利は大変険しい壁だ。中央競馬の騎手は狭き門とはいえ、TARGET上で確認できるだけでこれまで600人以上いる。その中でG1初騎乗初勝利を果たしたのは二人だけと、実に困難を極める。

G1初騎乗初勝利を果たした騎手

G1初騎乗初勝利を果たした二人の騎手とは、彼らである。

■熊沢重文騎手

熊沢重文騎手

 

現在、障害を主な舞台として活躍する熊沢騎手は、平地と障害のG1を制した唯一の騎手であり、大変稀有な存在だ。G1初騎乗初勝利を成し遂げたのは1988年のオークス。10番人気のコスモドリームに騎乗し、彼女を見事1着に導いた。その時、熊沢騎手は弱冠20歳3か月だった。

 

■江田照男騎手

江田照男騎手

 

2018年はリーディング62位と決して華やかとは言えないものの、着実に勝ち星を重ねる江田騎手。G1初騎乗初勝利を成し遂げたのは、1991年の天皇賞・秋。3番人気のプレクラスニーに騎乗して2着入線するも、その遥か先(5馬身差)で1着のゴールを駆け抜けたメジロマックイーンがスタート直後の斜行でまさかの降着。思わぬ栄冠が19歳の若者に転がり込んでいた。

 

■熊沢騎手と江田騎手と言えば

通な競馬ファンであれば、この二人の共通点を問われてもその答えに迷うことはないだろう。競馬に精通した彼らは、すぐさま「穴をあける騎手」と口を揃えるはずだ。ファンの頭に鮮烈なイメージを植え付ける二人は、競馬史に残る数々の大波乱を演出してきた。

熊沢騎手と江田騎手が波乱を演出できる理由として、大レースでも思い切った騎乗が出来る気負けしない精神力が一因となっていることは容易に想像できる。つまり、図太い精神力が必要とされるのであれば、大人しい藤田騎手にとっては大変険しい道となるであろうと、ここでもやはり厳しい眼を向けざるを得ない。

 

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藤田菜七子のG1初騎乗初勝利の可能性は

兎にも角にも、多くの競馬ファンが願うような結果をあまり期待しない方が良いというのが、本著の結論だ。

温かい目で見守るべし

 

厳しい戦いになることは間違いないが、この経験は彼女にとって大きな糧になることもまた疑いようがない。2019年の更なる飛躍に向け、結果は伴わなくともここで色々なことを学んでほしいと、いち競馬ファンは願う。

 

 

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