白血病を告白した池江選手

 

国民の期待を一身に背負うトップアスリートである以前に、遊びたい盛りの少女の一人であることも忘れてはならない。彼女の笑顔を見ていると、それを身に染みて感じる。

いずれにせよ、かけがえのない命であることに変わりはない。

オリンピックに出られなくてどうするんだと憂慮する某アナウンサー、さらには大変がっかりだと失言をかます某大臣。

 

そんな彼らを批判して自己満足の正義感に溺れる暇があったら、池江選手の為に自分が何が出来るかを考えて行動するべきなのではと、声高に叫びたい。

 

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日本骨髄バンクに問い合わせ殺到

競泳女子の池江璃花子選手が、2019年2月12日に白血病であることを自身のSNSで告白し、翌13日にそれを更新。必死に励まし行動するフォロワーたちに感謝の気持ちを述べる内容となっていた。

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* 昨日から沢山のメッセージありがとうございます。 ニュースでも流れる自分の姿に、まだ少し不思議な気持ちにもなります。 そんな中で皆さんにどうしてもお伝えしたく、更新させていただきます。 皆様からの励ましのメッセージの中に「骨髄バンクの登録をした」「輸血、献血をした」など、沢山の方からメッセージを頂きました。私だけでなく、同じように辛い思いをしてる方達にも、本当に希望を持たせて頂いてます。 私は、神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています。 もちろん、私にとって競泳人生は大切なものです。 ですが今は、完治を目指し、焦らず、周りの方々に支えて頂きながら戦っていきたいと思います。 しばらくの間、皆様に元気な姿をお見せすることができないかもしれません。 そしてしばらくの間、私も皆様と同じく応援側に回ります。引き続き、トビウオジャパンの応援、支援、そして沢山の様々なスポーツの応援、支援を宜しくお願い致します。 改めて皆様のメッセージとご協力に心から感謝します。 必ず戻ってきます。 池江璃花子

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そんな最中「ドナー登録するためにはどうしたらよいか」という問い合わせが日本骨髄バンクに殺到しているという。同バンクに寄せられる問い合わせは1日平均5~6件程度だが、池江選手が白血病を公表した12日には計270件となり、約50倍に膨れ上がったらしい。

ドナーはまだまだ足りないと訴える日本骨髄バンクにおいて、この状況は彼らにとって願ってもない好機と捉えていることであろう。しかし、普段よりも50倍もの仕事をこなさなければならぬ状況は、ブラック体質を生み出す元凶になる惧れも否定できない。

池江選手、骨髄を欲す患者、ひいては彼らを取り持つ日本骨髄バンクの負担を軽減するため、以下にドナー登録の際の注意点を簡潔にまとめてみることにする。

 

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骨髄バンク登録の注意点まとめ

ドナー登録を志す者は「Chance」というWebパンフレットを事前に読んで理解する必要があるが、なかなか長くて骨の折れる内容なので、大事な点だけ掻い摘んでおく。

①ドナー登録の資格がある人

誰も彼もがドナーに登録できる訳ではない。以下、日本骨髄バンクHPから抜粋。

・骨髄・末梢血幹細胞の提供の内容を十分に理解している方
・年齢が18歳以上、54歳以下で健康な方
・体重が男性45kg以上/女性40kg以上の方

 

1項目の「内容を十分に理解」という表現は微妙なところ。その「十分」とされる基準は何かと問いたいところだが、これは「同意」を求めていると理解して差し支えなかろう。後述するが、骨髄を提供する側としてのリスクはそれなりにあることを理解することが肝要だ。

2項目の「健康」という表現も、どこまで健康であればいいのか明瞭ではないが、HP上に「腰の手術を受けたことがない」「がんの病歴がない」など、具体例が示されているので参照されたい。

②骨髄採取は痛いのか?

骨髄液は骨盤を形成する大きな骨(腸骨)から注射器で採取する。手術室でうつ伏せになった状態で、骨盤の背中側、ベルトの位置より少し下の腸骨に、皮膚のうえから専用の針を数カ所刺して吸引。

採取する量は患者の体重に応じて採取量が決まるが、通常400~1200mLとなかなかの量である。骨髄採取は全身麻酔下で行われるとはいえ、所要時間は1~3時間かかる大手術だ。

採取により一時的に減った骨髄液は速やかに元に戻るとのことで、通常2~3日で退院し、大抵すぐに日常生活に戻ることができるらしいが、例外もある。麻酔からさめた後、採取個所が痛むことがあり、1~7日間残ったという例が多く、まれに1カ月以上残った例もあるらしい。また、37~38度の発熱やのどの痛み、吐き気、全身のだるさといった症状が出ることもある。

つまり、採取中の痛みは感じないものの、採取後に痛みや倦怠感を覚えることはあることを認識しておきたい。

③採取後の健康被害の可能性

骨髄提供後、決して多くはないが健康被害が出た例がある。

・急性C型肝炎(平成10年3月)
・左中殿筋内に血腫(平成27年3月)
・急性の腎機能障害(平成28年11月)
・尿道損傷を認め、退院後再出血(平成29年6月)

さらには過去に海外で4例(血縁者間3例、非血縁者間1例)、日本で1例(平成2年、骨髄バンクを介さない血縁者間)のドナー死亡事例があるという。

ドナーに対し、死亡の際は一律1億円、後遺症には程度により300万円~1億円の補償があるとはいえ、こうしたリスクも潜んでいることを理解しておくべきだ。

 

④家族の同意と直前での拒否は不可能

最終的な同意は、未婚の方は両親、既婚の方は配偶者の同席が原則となる。最終同意後は家族の如何なる反対があっても、提供を拒否することはできない。

なぜなら、患者は移植に備え、化学療法や放射線療法によって血液をつくる機能を失った危険な状態にある。つまり、直前での意思の撤回は患者にとって致命的となるからだ。

④ドナーは患者を選ぶことも出来なければ会うことも出来ない

骨髄バンク事業は公平性を保つ為、ドナーが患者を選ぶことは決して出来ない。さらには公平な運営と相互のプライバシー保護のため、面会は認められない。しかも提供後1年以内に、日本骨髄バンクを通じた2回までの手紙でしかやり取りを許されない

ドナーと患者は深い身体的な繋がりが生まれるものの、両者の間にある壁は難攻不落の城の如く厚い。

 

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池江璃花子の為だけではなく

声を大にして訴えたいのは、ドナーは誰に骨髄を提供したのかは決して分からないということだ。骨髄提供する機会が訪れたからといって、それが池江さんに提供されるかどうかは、永遠に闇の中である。

ドナーと患者のやり取りは、年2回の手紙のやり取りのみ。しかも相手は誰だか全く特定されることはない。池江璃花子とお近づきになりたいが為にドナー登録をしようなどという気持ちで行動に走ったとしても、その腹黒い思いは決して届くことはない。

ドナーと患者が決して顔を合わせることはない

 

今、ドナー登録をしようと思っても、日本骨髄バンクは今までにない多数のドナー登録作業を迫られることは必至であり、登録側も相当の時間を費やすことになることは間違いない。

池江さん御身の為でなく、彼女が白血病と戦うことで多くのドナーが集まり、多くの白血病患者が救われることに大義を持つ。そんな大いなる覚悟を持った者でなければ、ドナーという大役は務まらないことを念頭に置いておきたい。

 

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