ムーミン一家が歌って踊る異様な光景⋯⋯

 

平成最後のテーマパークとして産声を上げたムーミンバレーパーク。

歌って踊るその光景は或る夢の国を真似ているだけで、ムーミンとしてあるべきコンセプトから逸脱している感は否めない。

しかし、彼ら一家を招き入れることに成功した湖畔の町、飯能。

そこには大衆の知られざる努力があった。

 

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ムーミンバレーパークが開園

2019年3月16日、埼玉県飯能市で「ムーミンバレーパーク」が開園した。フィンランドの作家トーベ・ヤンソン(1914~2001)が描いた「ムーミン」をテーマにした同園。ムーミンの公式なテーマパークは、母国フィンランド以外は世界初。

開園したこの日、作者の姪であるソフィア・ヤンソンさんも来園。遠き異国の地に出来た新たなムーミン谷に対し、以下のように語った。

 

Sophia Jansson(ソフィア・ヤンソン)氏

 

「トーベ・ヤンソンを知ることで、生きていくための前向きな力を、特に子どもたちに与えられることを願っています」

朝日新聞デジタル 2019.3.16

 

約7.3ヘクタール(東京ドーム1.5個分、ディズニーランドの7分の1)の控えめな敷地には、ヤンソンの文学や芸術作品に触れられる体験が出来るほか、ムーミン一家の暮らしを再現した「ムーミン屋敷」などが来園者を迎える。

平成最後に誕生した世界的なテーマパーク開設に至ったのは、埼玉県の郊外にある飯能市。その飯能市はこの偉業に並々ならぬ努力を重ねていた。

 

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ムーミンバレーパークはなぜ飯能市にできたのか

飯能市は兼ねてから町興しの為、その策に頭を巡らせていた。

飯能市にムーミンのキーワードが初めて登場したのは、今から20年ほど前。1991年9月、当時の建設省より『平成記念子供の森公園事業』として認定を飯能市が受けた。その時、公園開業の計画が持ち上がったそうで、子どもの好きな童話をテーマにしてはどうかという提案が生まれた。

無理を承知で、飯能市はトーベ・ヤンソンさんに「あなたの書いた童話の世界を体感できる公園を作りたい」という主旨の手紙を宛てた。その手紙を遠く離れた北欧の地・フィンランドで、トーベ・ヤンソンさんは受け取ると、以下のように返答した。

 

Tove Marika Jansson(トーベ・マリカ・ヤンソン)氏

 

「あたたかいごあいさつに加えて、ムーミン谷(※編集部注「あけぼの子どもの森公園」のこと)に関する設計書とデザインをお送りいただきありがとうございました。

とてもすばらしい風景のもとに、ムーミン谷ができあがるものと確信いたします。(中略)子どもたちがこのムーミン谷で入場料などを払わずに、自由に遊んだり、泳いだり、山登りをしたり、安らいだりできるということに心から安心いたしました!

親愛なる皆様、私は恥ずかしながらすっかり老い、病ももっておりますので飯能に行って皆様の仲間に入ることは無理なのです。私はみなさんの夢が実現されることを望んでやみません」

トーベ・ヤンソン

ちいき新聞Web 2018.5.25

 

世界的偉業は、国と地方が一体となって成しえた結晶であった。

 

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ムーミンバレーパークのこれから

ムーミンバレーパークは、世界に誇る日本のテーマパークのひとつと成り得るか。ムーミンの母国以外にそのテーマパークが存在しない中、イベントやアトラクションは、世界に恥じることのないクオリティに仕上げることが求められる。

 

宮沢湖はムーミン谷を彷彿とさせる

 

少なくとも、千葉にある某夢の国に寄せた仕上がりにすることは絶対に避けるべきだ。自然豊かな地で安らぎの時を過ごすというコンセプトを崩さず、トーベ・ヤンソン氏の意思を強く引き継いでいくことは、至上命題となる。

 

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