【第2話】育児ノイローゼで倒れた妻←今ココ
社会人になるまで何となく過ごしてきた唯木でしたが、連日の残業や休日出勤に耐える企業戦士へと育ちました。
そして、30歳を迎える年に結婚。
人生の伴侶を得た僕は、これからも立派な社会の一員として歩んでいくんだろうと信じていました。
僕はイチ企業の会社員としてならば、とても立派だったのかもしれません。
しかし、もっと広い目で見てみれば、僕は古い考え方に捉われた時代錯誤のダメ夫。
「ただ何となく」
「ぼんやりと」
「まわりにあわせて」
そんな思考停止な毎日を生きてきた人生のツケというものは、いろいろなところで回ってくるのでした。
目次
育児ノイローゼで倒れた妻にダメ夫がやっていたこと①~③
結婚してからというもの、僕の仕事に対するヤル気は格段に上がりました。
これまでは、帰ったら一人寂しく冷たい晩ごはんを食べなければなりませんでしたが、結婚してからは、帰ったら妻と仲良く温かい晩ごはんを食べられるひと時が待っている。
もちろん良いことはそれだけじゃないですけど、帰りを待ってくれる人がいるというだけでも、僕の仕事に対する熱は高まるばかりでした。
ただ、結婚したからと言っても、僕は仕事優先の企業人という感覚はまるで捨てられず⋯⋯。
①いつも帰ってくるのは深夜
結婚してからも、終電に乗って帰ることは当たり前のように続いていました。
僕の仕事の効率が悪いのもありますけど、降ってくる仕事の量はいつまでたっても山のように重なり⋯⋯。
また「夜遅くまで仕事をやるのが美徳」みたいな雰囲気が現場にはあり、早く帰ることで周囲から変な目で見られるのがすごく気になりました。
それでも、毎日というわけではありませんが、妻は僕の帰りを待ってくれて、温かいご飯を提供。
今思い返しても、そのありがたみがしみじみと伝わってきます。
②たまの休みも出かけることはなく
多くの人が仕事をしない土日に作業することの多い、ITエンジニア。僕のやっていた仕事も例外ではありません。
平日に代休を取っても、妻の仕事は土日休み。二人でいっしょに休日を過ごせるのは、貴重な機会でした。
そんな大事な休みの時間でも、仕事の疲れを取りたいと、ゴロゴロと寝たりテレビを観て過ごしてしまっていた僕。
思えば二人でどこかに出かけたなんて日は、数えるくらいしかなかった気がします。
③献身的な妻に甘えすぎ
晩ごはんを作って夜遅く帰ってくる僕を待ってくれるのに、せっかくの休みの日にはいっしょにお出かけもできない。
そんな不満の一つや二つ、ぶちまけてもおかしくない状況なのに、妻はいっさい泣き言を口にせず、いつも自然体で僕と接してくれました。
妻も僕の仕事が忙しいことが分かっていたから、必死で支えようとしてくれたのでしょう。
そんな献身的な妻の姿勢に、僕は甘えすぎていました。
すべては仕事が忙しいことを理由に、プライベートのことは二の次。
効率よく仕事をこなして、早く帰ろうと思えば帰れたはずなのに、ちっともそんな努力はしませんでした。次々とやってくる仕事を淡々とこなしている方が、楽ですから。
「仕事が忙しいから仕方ない」
家庭のことはすべて、それを理由に妻に押し付ける。そんな非道極まりない時代錯誤の行動が、徐々に家庭を暗い雲で覆っていきます。
育児ノイローゼで倒れた妻にダメ夫がやっていたこと④~⑦
なんやかんやで2年ほど結婚生活を続けていたある日のこと、妻の妊娠が発覚。新しい家族が増える喜ばしさに、僕も妻も心踊らせていました。
しかし、僕のあまりにダメすぎる行動のせいで、最悪の状況に進んでいきます⋯⋯。
④出産に立ち会わない
僕は妻の出産の際、立ち合いどころか、陣痛室でサポートすらせず、出産当日も仕事に明け暮れていました。
僕が娘を初めて見たのは、産まれてから三日後。休日になってようやく産婦人科を訪れた時のことでした。
仕事を休もうと思えば休めたはずなのに、僕にはそれができず。
痛みに苦しむ妻に寄り添わなければという気持ちより、同僚や上司に白い目で見られるのが怖い気持ちを優先させたのです。
出産に立ち会うから休むという人が、職場の周りにいなかったので、
「そんな理由が通じるか!」
と、どやされるのが恐怖でした。
今となっては勇気を出して相談しておけばよかったと後悔していますが、職場の人たちの顔色をうかがうことに全てを賭けていた当時の僕に、そんな勇気は決して出なかったことでしょう。
⑤家事を全然しない
子供が産まれる前から、家事という家事はすべて妻に任せていました。
妻も子供が産まれる前までは働いていましたが、僕の方が仕事の拘束時間が長いし、お金も多く稼いでいるから⋯⋯、という理由で逃げたいところ。
でも、今はそれが通用しない世の中なんですよね。
「男性は外で仕事、女性は家事」
なんていうのは⋯⋯

なんて、ツッコミたくなる時代。
以下の調査サイトによると、ゴミ出し、風呂そうじは、男性の約7割が担当してるんだとか。
【家事は女性がやるもの!?】家事に対する男女の本音を大調査!“見えない家事”の負担はだれが負う・・・?家事に対する意識の差が男女ではっきりと分かれる結果に。

してませんでしたけど、何か?

⋯⋯いや、本当にアホ全開ですよね。
忙しさを盾にしていたというか、献身的で働き者の妻に流されっぱなしだった自分の情けなさといったら。
⑥育児に全く参加せず
そういえばその頃、娘とふれあった機会はどれくらいあったか、数えるくらいしか記憶がありません。
家に帰ったころ、妻と娘はすでに就寝。
朝、家を出るころに、妻と娘は起きてくる。
そんなサイクルを繰り返していたので、娘の顔を見られるのは、休日くらい。じゃあ、休日は娘と過ごしたかというと、基本的にママにベッタリ。
娘の人見知りがはじまるようになってからは、僕が近づこうとすると、ギャン泣きが止まりません。なので、接しようにも接しられず。
「もっと根気よくやれよ!」
って、ことなんですが⋯⋯。
ただ、妻が何とかしてくれちゃうし、やはりまた、仕事の疲れがたまっていることを言い訳にしてしまう自分がいまして⋯⋯。
そんなこんなで、二人のそばでグッタリと寝ているというのが、よくある休日の過ごし方でした。

本当にゴミすぎる⋯
⑦同僚や友達を優先
子供が産まれたと言っても、仕事で受けるストレスの量が変わることはありません。
それを解消するために、たまに早く帰れるときは同僚と飲みに行ってしまうし、休日は友達と遊ぶ約束を入れてしまっていた僕。
「そんな暇があるんなら、少しは子供とふれあう機会を増やさんかい!」
そんな感じで怒られるのは当然。それでも、楽な方、楽な方にに逃げてしまう僕。
そんな自分自身に対し、呆れを通り越して感心してしまうくらいです。いや、感心しちゃいけないんですけど⋯⋯。
育児ノイローゼで倒れた妻とダメ夫の子育て開始
これだけ自分勝手な行動と思考停止な考えをしていたら、いっしょに過ごす妻のストレスは溜まる一方。
そしてついに⋯⋯、
娘が1歳の誕生日を迎える前、妻が倒れました。
1週間ほど入院した後、数か月間実家での静養を余儀なくされました。
子供については、親に頼むにも限界があり、僕が会社を休んで面倒を見るほかありません。
しかし、会社はそう簡単に休みを認めてくれず、今まで何もしてこなかった子育てに、僕はとにかく悪戦苦闘⋯⋯!
第3話に続きます!