そごう・西武の労働組合が2023年8月31日、ストライキを決行。西武池袋本店は31日に全館休業と相成りました。

従業員の方々のお気持ちも分からなくはないですが、ダーウィンの法則に則れば経営者側の判断に身を任せざるを得ないのも仕方のないことではないでしょうか。

「強いものが生き残るのではない。変化に対応できるものが生き残るのだ」

既得権益にしがみつくのは簡単です。そんな簡単なことを長続きさせて楽しようとは、あまりに虫の良すぎる話ではありませんか?

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百貨店事業の巨額赤字

「そごう・西部」の親会社であるセブンアンドアイホールディングス(HD)はコンビニ事業が堅調な一方、百貨店事業で巨額赤字を抱えているそうで。

4年連続赤字で、額にして3000億円を超えると。売上600億円の会社に籍を置いた我が身ですが、それを基準に考えると、まー取り返しのつかない額ですわね……。

「はよ売却せい!」と株主もお怒りでケツを叩くのも無理はありません。資本こそが至上のこの世の中でそれだけのお荷物を抱えては、従業員の心情に流されるわけにも参りませぬ。

家電量販店が救いの手?

セブンアンドアイHDは、米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に売却する方針を固めているとのことです。同ファンドはヨドバシHDと業務提携しているそうな。

池袋西武にはヨドバシカメラが入ってくる予定で、従業員のみなさまも売却後はヨドバシさんとしての雇用が考えられます。

とはいうものの、家電量販店だけでは売り場面積も縮小され、余剰人員も当然のことながら溢れてしまうところでしょうが……。

そういえば恐れながら私の地元駅前にもそごう様が堂々と居を構えていらっしゃいましたが、売り場面積の半分を某家電量販店に持っていかれました。そしてその駅前のそごう様は今や退かれ、その象徴的な建物は今も空き巣となっており、どのように再開発するかの話題で絶えません。

池袋本店もそのような流れにならないことをお祈り申し上げます……。

曖昧な説明に輪をかけて

セブンアンドアイHDやフォートレス・インベストメント・グループは「百貨店事業の潜在的価値を最大限に引き出すプランを提示」とたしかにこれでは曖昧な回答。もう少し具体的な策を提示してほしいところ。

一方で労組側も「百貨店に就職したんだから百貨店で働きたい」などと譲りません。これに関しては働く側にも一定の譲歩が欲しいかなと言わざるを得ません。

縮小する一方の業界への就業プランを明示的に示せない経営側に対し、縮小する一方の業界へしがみつきたい従業員側の要望が相まみえ、終着点の見えないまさに泥沼な状態。

時代に合わせた変化を

百貨店業界が風前の灯火と化しているのは、ECサイトの台頭が後押ししていることは最早言うまでもないでしょう。オフライン(対面)でモノを売らなければならない百貨店業界は、数を売ることに関しては完全なる劣勢に立たされています。つまるところ、より付加価値を高め単価を上げていかなければ生き残れないビジネスモデルとも言えます。

僭越ながら「潜在的価値を最大限に引き出すプラン」として思い付くのは、数多くのブランドと提携できている現状を活かし、お金の集まる個人に衣類や装飾品等のトータルコーディネイトを提供するといったところでしょうか。

しかしどうしても単価アップをせざるを得ない状況である以上、売り場面積を縮小、人員削減は避けては通れない道となります。「百貨店に就職したんだから……」という方々全員に対してその要求を叶えることは絶望的と言わざるを得ません。

需要の少ないニッチな業界で生きていくには、ターゲットを絞った単価向上は必須条件。そして個人に高いお金を払わせる為には、より深い知識を探求し続けなければなりません。

このニュースの論点は、時代の変化についていけない、言わばダーウィンが評すところの「淘汰されるべきもの」を労組側が潮流に逆らってまで保護しようとしている点ところにあると、恐れながらご意見申し上げます。

人間は恒温動物であり、ホメオタシス(生体恒常性)があるがゆえに変化を望まないことが基本らしいですが、停滞を感じた際に変わらなければ滅んでしまうのは、先述の偉大な生物学者が論じたとおりです。

生き残りたくば変化を恐れるな、ということですかね。

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