一度点火された砲台の火は、すぐに消えることは無かった。

その閃光は日本一の栄冠だけでは飽き足らず、世界の強豪にまで獲物を求めた。

そして眠っていた侍の心にも、火を灯した。

日本の誇る新たな至宝は、まだ輝きを放ったばかり。

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侍ジャパンの2018年初陣は台湾に競り負け

2020年東京五輪の金メダルを目指し、稲葉監督率いる野球日本代表・侍ジャパンが、福岡ヤフオクドームに台湾代表を迎え、壮行試合を行った。

試合は5回表に阪神・岩貞が台湾打線に捕まり、一挙5失点。一方、侍ジャパンは8回まで1安打無失点に抑えられる苦しい試合展開を強いられる。

しかし6点差で迎えた最終回、侍ジャパン打線はそれまでの湿りっぷりが嘘のように、火が付く。広島・田中広の2塁打を皮切りに、ヤクルト・山田のタイムリーなど打者一巡の猛攻で5点を返す。最後は打席の戻った田中広が空振り三振に倒れ、ゲームセット。台湾代表の前に僅か1点届かず、侍ジャパンは2018年の初陣を終えた。

敗因は完全に眠っていた侍打線に寄るところもあるが、そんな彼らの目を覚まさせたのは、やはりあの男だった。

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甲斐キャノンが台湾の盗塁王も刺す!

謀ったかのように、その男は再び大衆の前に姿を現した。

9回表の台湾の攻撃、横浜の守護神・山﨑が「ヤスアキジャンプ」で沸き立つ観衆に迎え入れられ、マウンドに上がる。一方、侍たちを呼び起こす張本人となるソフトバンク・甲斐は、静かにバッターボックスの後ろに腰を下ろす。

山﨑・甲斐のバッテリーは、先頭のワン・シュヨンウェイから三振を奪うと、続くバッターは今季台湾リーグの盗塁王・ワン・ウェイチェン(王威晨)。

2016年に台湾リーグの1軍デビューを果たすも、思うような結果を残せずにいた彼。しかし、今年突如ブレークし、44盗塁を奪う活躍。そして、打率.335の打撃技術を見せつけるかのように、ハマの守護神からセンター前へヒットを放ち出塁。

台湾最後の攻撃の回で、その強肩で日本を騒がせた男がバッターボックスの後ろに座り、台湾の盗塁王がヒットで出塁。

やらせ疑惑も浮上しそうな展開で、ショーを見せられている感覚に陥った。

日本バッテリーが2アウトを取った直後、ワン・ウェイチェンは初球から走り、スタンドがどっと沸く。バッターがファールで逃れると、スタンドからは溜息の声。

最早、野球というスポーツが別の競技に見える。

投手が投げる球を打者が打つことがメインとなる競技のはずなのに、捕手が投げる球を走者が掻い潜ることがクローズアップされるとは。

ここまで来たら「足と肩」で決着をつけるしかあるまい。

日本中の期待を裏切ることなく、台湾の快足は1塁ベースを蹴る。

そして日本の誇る砲台は獲物を照準に定め、閃光を解き放つ。

結果、撃墜。

すべての野球ファンの期待に応えるかのように、侍ジャパンは台湾代表から最後のアウトを奪った。

それが引き金となったのか、その裏、侍ジャパンがそれまでの貧打ぶりが嘘のように打ちまくったのは、前述の通り。最後1点届かず負けるあたり、日本人の心をくすぐる邦画の手法を見せられているようだった。

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真剣勝負から生まれるドラマ

高校野球は胸を打つような展開が次々と生まれ、筋書きのないドラマと称されることが多いが、プロ野球においてそんなシーンに出くわすと、何か台本に書かれていたかのような目で見てしまうのは、小生だけだろうか。

野球ファンなら誰しもが望んでいたであろう「甲斐キャノン」が炸裂した直後、地上波の中継が終了。

今日の試合はシーズンとは関係の無い壮行試合。

両チームの間で忖度はなかったか。

いや、穿った目で見ることはやめよう。

プロの仕事は試合に勝つことではない。ファンを楽しませることだ。

どんな形であれ心に響くものを見せてくれれば、明日もまた襲い掛かるであろう満員電車と上司の理不尽な要求に耐えられる。

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